第39章 〈ロー〉お誕生日おめでとう、キャプテン!
「もう一度、ちゃんと顔を見て言え」
「……」
ーー恥ずかしいからそうしなかったのに……。
「言え」
「……」
ーー本当にこの男は……。
「……言わなきゃダメですか?」
「ダメだ」
「……」
ーーこの男はとても強情だ。こんな女の言うことを聞くわけがない。
わたしはため息をついた。
「船長、お誕生日おめでとうございます」
船長は満足そうに、口端を上げた。
「え、船長!?」
「何だ?」
服の中に手を入れてくる。
「な、何してるんですか!?」
「何って誕生日プレゼントを貰おうと思ってるだけだが?」
「誕生日プレゼント!?」
ーーつまり、自分が誕生日プレゼントとか言う、あれのことか?
「ちょ、船長!」
「何だ?」
「あの……わたし、船長と付き合ってもない……」
「そんなこと気にしてたのか?」
あっけらかんと船長は答えた。
「お前はおれのことが好きか?」
「え……」
ポカーンと口を開けた。
「い、いきなり何ですか!?」
「いいから、答えろ」
ーーそんなこと、いきなり言われても……。
「……そんなの……」
ーー好きに決まってるじゃないですか。ーーそんなこと言えないけど。
「……好きなんだろ?」