第13章 〈ゾロたし〉あなたに勝つ、その日まで
たしぎはゴニョゴニョと口籠もりながら言った。
「べ、別にそういうわけで言ったわけじゃ……」
「あァ!?」
ゾロは眉間にしわを寄せた。
「べ、別に一緒に食べたくないわけじゃなくて……ただ、わたしはあなたのことが嫌いなだけです!」
「嫌いなんだろ!? 何でわざわざ止めるんだよ!」
「それは……」
たしぎはまたゴニョゴニョと口をすぼめた。
「全く……どっちなんだよ」
「……わたしは……」
たしぎは俯いた。
「わたしはあなたに認めてほしかった」
「あ?」
ゾロはたしぎの方を向いた。
「あなたはわたしのことを『くいな』とか『パクリ女』とか言ってました。わたしはそれが嫌でした。わたしの存在を否定されてる気がして……」
「……あー」
ゾロはたしぎから目線を外した。
「あん時は悪かったよ。おれも自分勝手だった」
「でも……」
たしぎは顔を上げた。
「今日、あなたはわたしのことを認めてくれました。わたしは……」
たしぎは顔を少し赤くした。
「それが嬉しかった」
ゾロは目を見開いた。
(くいな……?)
ーいや、違う。こいつはくいなじゃない。似てるけど、明らかに違う。
「わたしはずっとあなたに認めてほしかったんです」