第10章 〈ロー〉感情の読めない人だから
(そんなつもりで言ったわけじゃないのに……)
アリスの顔はみるみる青ざめていく。
「アリス……ごめんなさい……」
アリスの隣でベポは黒いオーラを纏わせて、謝っている。
「ううん、ベポのせいじゃないよ」
ーあの腹の中が読めない船長のせい。
アリスはそう思うことにした。
「でも、さっきのキャプテン……」
ベポは口元に指を持っていって、うーんと考えた。
「おれが今まで見てきた中で……1番落ち込んでいるかも……」
「……」
「あんなキャプテン見たことないよ」
「……」
アリスはベポに合わせてしゃがんでいたが、スッと立ち上がった。
「アリス?」
「ベポ、わたし……船長に謝ってくる」
そう言うと、アリスはあの面倒くさい男の後を追いかけた。
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