第10章 〈ロー〉感情の読めない人だから
(この海賊団に拾われた時も……よくわからなかったからな〜)
アリスは笑って、目の前の男に言った。
「そうですか。聞こえてなかったのならよかったです」
「……お前、おれの悪口を言ってたのか?」
ローはアリスを睨んだ。
「いえ……そんなことは……」
「アリスはキャプテンがみんなのことを心配して、わざわざ海の中に潜ったんだって言ってたよ」
隣で倒れているベポがそう言った。
「ちょ、ベポ!」
「まだ傷が癒えてないからって、キャプテンは優しいんだよって」
「そんなこと言ってない!」
アリスが言ってないことまでベラベラと喋り始めた白くまをアリスは叩いた。
「いて!」
「船長がみんなのことを心配してると思うっていうのは言ったけど、優しいなんて一言も言ってません!」
「ほー」
アリスはドキリとした。ゆっくりと後ろを向く。
「俺は優しくないか」
「せ、船長、あの!」
「お前はそんな風に思ってたんだな」
ローは不機嫌そうにアリスを睨んだ。
「……アリス、お前……おれに拾われて……嬉しくなかったんだな」
「え!? あの、船長!」
「もういい。しばらく話しかけるな」
「せ、船長!」
ローはそのまま、早足で自室の方に向かって行った。
「……どうしよう……」