第10章 〈ロー〉感情の読めない人だから
「そんなのおれ、無理だよー! こんな暑いの耐えられないよー!」
「そんなこと言われても……船長が2億の賞金首だから、海軍の方もなかなか諦めてくれないと思うし……」
アリスは困ったように笑った。
「キャプテンが強過ぎるから、早めに捕まえたいってこと?」
「うん……船長の能力は海軍にとって、邪魔でしかないと思うんだよね〜」
「誰が邪魔なんだ?」
1人と1匹の後ろから声がかかった。
アリスは後ろを向いて、少し嫌な顔をした。
「……船長……」
「何でそんな嫌そうな顔をするんだ?」
そこに立っていたのはハートの海賊団の船長であり、2億の賞金首で“死の外科医”の異名を持つトラファルガー・ローだった。
「……いえ……」
「何でそんな嫌そうな顔をするんだ?」
同じことを2回も聞いてくるこの男は相当、性格が悪いし歪んでいるとアリスは思っている。
「……今の話を聞いてたのかな〜と思いまして」
「生憎だが」
ローはふーと息を吐いて答えた。
「お前ら2人が話してる声は聞こえなかった。それに、お前らを見つけたのもついさっきのことだしな」
「……ついさっきってどれくらい前ですか」
アリスはため息をついた。
(……この人はどうもわからない)
ーシャチやベポはとてもわかりわすいが……このトラファルガー・ローという男は腹の中が読めない。