第8章 〈サボ〉どうして冷たくするの?
「え?」
コアラは驚いた顔をして、大きな瞳をパチクリさせた。
「会話が楽しくなくなったの? レイのことが嫌いなの?」
「違う!」
サボは声を荒げた。
「なんて言うか……その……」
「何よ」
「えっと……」
口をもごもごさせたまま、サボは次の言葉を言おうとしない。
「はっきりしなさい! 男でしょ!?」
コアラは我慢ができなくなり、大声で怒った。
「……す……」
「す?」
コアラはしかめっ面でサボを見た。
「好きなんだよ! レイのことが!」
サボはその言葉を叫び、しまったと思って口を手で抑えた。
「へー」
コアラはニヤニヤして、ある方向を見た。
「だってよ、レイ」
「……え?」
サボは真っ赤にさせた顔をコアラの目線の先へ向けた。すると、食堂の扉からイワンコフの後ろに隠れるようにしてレイが入って来た。
「レ、レイ……」
「……」
レイも顔を真っ赤にさせて俯いている。
「ど、どういうことだよ……」
「どうもこうもないッキャブル」
呆れたようにイワンコフはため息をついた。
「サボくん、レイのこと好きなのに照れて避けるから」
「レイガール、すっごく落ち込んでたッキャブル」
「……」
サボは俯いた。ーー先程コアラが言ったように、恋心を意識するまではレイと普通に会話はできていた。しかし、レイのことが好きだと気付いてから、どう接したらいいかわからなくなり、今に至るのだ。