【ONE PIECE】もしもあなたが連れて行ってくれたなら
第1章 今、隣にいること
「……こんな状況なのに、随分機嫌がいいわね」
口角が上がったまま戦っているキッドの隣で、刀を振りながら彼に向かって言う。キッドは未だに笑ったままだ。
「まあな」
「お目当の“麦わら”のルフィに会えたから?」
「……そうかもな」
彼はさらに口の端を上げる。口紅で真っ赤になった唇が弧を描く。
「ふふ」
「何だよ」
2人で海兵を倒しながら会話を続ける。
「いや? わたしも彼に会えてよかったわ」
ーー海賊王になる、あなたの1番のライバルになり得る相手だもの。
「そうかよ」
キッドは機嫌が良さそうに笑い、次々と海兵を殴り倒していく。
(今、思えば……)
あなたの隣でわたしがこうして戦えていることも奇跡なのかもね。もし、あの時……あなたに出会わなかったら、あなたと夢を語っていなかったら……今頃、わたしは……。
ーーそれは8年前のあの日、生まれ育った島で3人と交わした約束のおかげなのかもしれない……。
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