【ONE PIECE】もしもあなたが連れて行ってくれたなら
第2章 幼き日の約束
「ない」
「わたしも」
「特には」
わたしたちの返事はとても素っ気なくて……キッドは少しつまらなさそうな顔をして肩を落とした。
(夢なんて……)
ーー夢なんか持ったって、わたしの未来はもう既に決まっている。ーー伝説の天竜人はこの世界を治める決まりになっている。それ故に、誰よりも強くなくてはならなかった。わたしはこの先……海軍に入って、海軍大将であるクザンの部下になって、そして……女王になる。世界の全てを治める女王に。それがわたしの決められた道。この世に生まれ落ちた時から、変えることができない運命だった。
「つまんねェな。本当にねェのかよ」
「そういうキッドはあるの?」
わたしは上体を起こした。口を尖らせて、キッドの目をじっと見つめる。
「あるぜ」
キッドは勢いよく上体を起こして、自慢気に笑った。
「おれの夢は海賊になって、〈ひとつなぎの大秘宝〉を手に入れることだ!」
キッドは自信に溢れた顔で笑った。
「G・ロジャーみたいになるんだ!」
キッドが語った夢。その言葉にわたしは胸が踊るような気分になった。
〈ひとつなぎの大秘宝〉、G・ロジャー……それらの言葉は全て少し前におばあ様から聞いたことがあった。