第2章 沖田総司
そのとき、総司の腕に無数の痣があることに気が付いた近藤さんは咄嗟にその小さく震える手を掴みとる。
総司はと突然の事に驚き抵抗しようとした。
「総司!これはいったいどうしたんだ!まさか、誰かに折檻でもされたのか?!」
そう心配そうに顔を覗きこむ近藤さんをみて抵抗をやめるとそっぽを向きながら言う。
「転んだんです、僕、そそっかしいですから」
何処か悲しげにそう言う総司を見て不安になる。
「転んだぁ?」
近藤さんは心配そうに総司を見つめているが総司はお握りを受け取るとそれを自分の横におき俯いた。
「お握り・・・ありがとうございました。僕、この後庭の草むしりをしなきゃいけないので、出ていってもらえますか」
「・・・そうか」
近藤さんは心配そうに総司を見つめると立ち上がって部屋を出ていく。
私はその背中に「後は私がやるので近藤さんは安心して部屋にお戻りください」と声をかける。