第4章 恨み憎む男ー灰崎ー
「お前ら、本当に目障りだな、獣共」
「…お前がやったんッスね、赤司っちを」
「俺以外の誰かだと思うのかよ?黄瀬君よお~」
「……………お前」
「やめろ、黄瀬。相手にするな」
灰崎さんはしばらくの間彼らと睨み合っていたけれど、ある瞬間に不意に俯いた
ふ、と笑って、灰崎さんは槍を下げた
「…あーあ…これで終わりか
そうだろ?
他人を傷付けるのを嫌うお人好しの獣共」
「………………お前」
「…こいつホントムカつくなあーー殺していい?」
「おお怖い怖い、…しかたねえ、今日は深手を負わせただけでも収穫とするか
………だが、次こそは必ず…」
ククク、と笑った灰崎さんの周りを黒い霧が取り囲む
そして、その霧が晴れた時には
もう灰崎さんの姿はどこにもなかった
…すべて、今の私にはどうでも良かった
「赤司さん…!」
私は必死に赤司さんの名前を呼んだ
でも胸に開いた穴から溢れ出る血は止まらない
不意に、以前テツヤさんから吸血鬼について色々聞いた時のことを思い出した
『十字架や太陽を恐れたりはしませんが…
心臓を貫かれると死ぬというのは本当ですよ』
「……………っ」
赤司さんを抱き締める腕がガタガタと震える
涙も冷や汗も止まらない
どうしよう
このままじゃ、赤司さんが…!!
「…ゲホッ」
「!」
突然咳き込んだ赤司さん
その口からも赤い液体が流れ落ちた
「赤司、さ…」
ただ名前を呼んで抱き締めることしかできない自分が許せない
だってこんなことになったのは間違いなく私のせいなのに
「赤司、しっかりしろ!」
知らぬ間に元通りになった火神さんも駆け寄ってきた
紫原さんと青峰さん、黄瀬さんも呼び掛ける
するとその騒がしさに気付いたのか、
赤司さんがうっすらと目を開けた