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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第3章 不穏な心




『今も、その子を特別に思っていますか?』




返ってくる言葉が怖くて、そう聞けなかった




…どうしてこんな気持ちになるんだろう


赤司さんがその女の子のことを話す度に、誰かに心臓を鷲掴みにされたように苦しくなって、泣きたくなる


ズキン、ズキン




いたい



「…だが、俺たちは血を飲まないと死んでしまう」


「…はい」


「だから血の代用品が必要になった」


「代用、品…?」


「あぁ

で、その代用品がこれだ」




そう言って、赤司さんはもう一度テーブルの上のグラスを持ち上げた




「それが?」


「あの怪物使いの知り合いに魔法使いの男がいてね

彼に作ってもらったんだ
もう人里を襲わない、って交換条件で」


「…あ、」




そういえばこの前森の中で火神さんが言っていた



血の代用品があるらしい、とか
魔法使いが作った、とか



…このワインのことだったのか




「…ああ、そう考えるとワインというより薬と言った方が正しいかな」


「薬…」


「味はワインだが、血に代わる成分が色々入ってるらしい」


「そうなんですか…」


「だから、これを飲めば血はいらない」




カタン、とグラスを置いて私の肩に擦り寄ってきた赤司さん

私は赤司さんと重ねていない方の手で、そっとその頭を撫でてみた


赤司さんは一瞬だけ身を強ばらせたけれど、すぐにまた力を抜いた





「…だが」


「?はい」


「時々、あの血が飲みたくなることがあるんだ」


「え…」


「どうしようもなく、あの血が欲しくなる」


「……………」




そんなこと、私に言われても


自然に頭を撫でていた手も止まる



それに気付いたのか、赤司さんはゆっくり顔を上げた


目を合わせづらくて顔を逸らすと、彼は何を思ったのか知らないけれど





「…名前……」


「…っ!?」






私の名前を呼びながら、首筋にキスをした


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