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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第3章 不穏な心


「……名前」




不意に名前を呼ばれて赤司さんを見上げる


彼も私を見つめていて、私と目が合った瞬間に「手」と言った



手?

…そんな主語だけ言われても


述語はどうした、述語は




とりあえず「手」と言われたので視線を落としてみる


そしたら、ソファーの上には赤司さんの手があった


掌が天井を向いている



「(……あ、)」



途端にこの前の庭のベンチでのことを思い出す


ちらり、と赤司さんを見上げた



…やっぱり涼しい顔をしているけれど、
じっと私を見つめている


もう一度、赤司さんの手を見てみる




大きな手が広げられていて、まるで私に「おいで」と言っているように見えた


その目に見えない呼び掛けに、私は少しだけ戸惑いながらも庭でしたように赤司さんの手に自分の手を重ねた



刹那、伝わってくる温かい体温と
少しだけ骨張った男のひとの手の感触




…なんだろう

この前重ねた時よりも心臓がうるさい




「…震えてるな」



赤司さんが静かに、囁くように言った




「もしかして、緊張してるのか?」




する、と頬に触れた赤司さんの指先

無意識の内にぴくんと肩が跳ねた




「…そんな、ことは……」


「そうか?」




余裕綽々に笑いながら、赤司さんは背もたれに体重を預けて窓から空を見上げた


つられて私も空を見る



月がないせいか、星がいつもより沢山見えた



更にここが町から離れた森の中だからか、余計な明かりもないからその一つ一つの小さな光がよくわかる





「(…綺麗)」





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