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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第3章 不穏な心




コンコン、と小さくドアをノックしてみる


すると、この前とは違って「入ってくれ」と中から赤司さんの声がした



そっとドアノブに手をかける

目を閉じて、深呼吸をしてから思い切ってドアを開けた



開いたドアの隙間から夜風が吹き込んでくる


ひょこ、と顔だけを覗かせてみると、床から天井にかけての大きな窓からはやっぱり月の光が差し込んでいて、
明かりのついていない部屋の中を白く照らしていた



そして、赤司さんもやっぱりこの前と同じようにソファーに座っていた




「…何やってるんだ」


「え」


「おいで」




ドアから部屋の中を覗き込んでいた私に赤司さんがこいこいと手招きをする



逆光のせいで顔はよく見えないけれど、ゆっくりとドアを閉めて近付くと、ソファーの前にあるテーブルにグラスが置いてあるのが見えた



その中に注いである液体は月明かりに照らされて赤々と輝いている


真っ赤なそれに、私は少しだけ息を飲んだ




まさか、




「血じゃない、ただのワインだ」


「え、あ…」




思っていたことを言い当てられて返す言葉もない


赤司さんはソファーの手前で立ち止まった私に、もう一度手招きをした




「おいで、隣に」




赤い口元が、私を呼ぶ


逆らえなくてソファーの前に回ると、
腕を引かれて隣に座らされた



……ああ、心臓がすごくバクバクしている


このひとは何かと理由も言わずに人を呼び出すのが好きなんだろうか


言わずもがな、今夜こうして呼ばれた理由も私は知らない

テツヤさん伝いに「今夜、部屋で待っている」と言われただけだから


それなのに来てしまう辺り、
私は警戒心というものが皆無らしい



…でも、赤司さん相手に今更警戒心なんて必要だろうか、と考えてみるとそうでもないし


私は目の前の赤い液体が入ったグラスを意味もなく見つめながら黙り込んだ





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