第2章 Ⅱ 離したくない
会場の下見をした後、俺たちは駅で別れた。
大会まであと2週間
今はとにかく、少しでも多く泳ぎたい
大会のパンフレットを握りしめ家に向かおうとした途中
「・・・真咲?」
遠くで携帯を片手にきょろきょろしている真咲の姿があった。
「どうしたの?」
「ぅえっ!あっ、ハル・・!」
いきなり声をかけたせいかかなりびっくりしていた。
「あのね、私、寮に入るんだけど・・・道がわかんなくて・・・」
「もしかして・・・方向音痴?」
「・・・うん。」
彼女は申し訳なさそうにうなずいた。
「貸して。」
俺は真咲の携帯を奪った。
「えっ、あっ、ちょ・・」
「・・・なんだ、うちの近くじゃん。」
「そうなの・・?」
「行くよ。」
「えっ、あ、待ってー!」
こうして俺たちは真咲の寮へ向かうことになった。