第2章 Ⅱ 離したくない
真咲が口を開いた
「・・・ん?」
「あたしとハルが初めて話した日のこと覚えてる?」
「真咲が楽譜をプールに落っことしたやつだろ?」
「違うよ~!あれは風にとばされたの!」
真咲はすこしムスッと膨れた
「知ってるよ、怒るなって。」
俺は真咲のころころ変わる表情がなんだかおもしろかった。
「もう・・!」
「で、それがなに?」
「・・・あたしね、ずっと前からハルと話してみたいなって思ってたんだよ。楽譜が飛ばされちゃう前から・・。」
「え・・・」
「渡り廊下からハルのことずっと見てたの。気持ちよさそうに泳いでるな~って。」
俺はただただ真咲の話を聞いていた
「で、どうやったら話しできるかなって考えてたの。そしたらすごい風が吹いてね、まさかプールに楽譜が落ちちゃうなんて、びっくりしちゃったよ。」
「真咲・・・」
「でもね、これはもしかしたら神様がくれたチャンスじゃないのかって思って・・・」
俺は真咲の話を頭の中で整理することができなかった
どういうことなんだ・・・?
真咲が俺のことをずっと見てたって・・
それって・・・つまり、俺のことを・・・
「だからね、私・・・ハルが・・・」
「真咲!」
「・・・ハル?」
「好きだ。」