第5章 便chance!(便座夢/激甘)
「ふんふ~ん♪…フフッ、やぁ、小鳥さん。」
昼下がりの中庭、ベンチ(便チ)に腰掛け鼻歌を歌う一人の少年────学園のプリンス、便ジャミン・サンリオ・キャラバン。
彼の周りには爽やかな風が吹き、輪を作るように小動物達が囲っていた。便ジャミンはふと、足元に擦り寄ってきた子兎を抱き上げた。
「おや、見ない顔だね。新入りかい?」
子兎は嬉しそうに便ジャミンの顔に鼻先を擦り寄せる。不意に兎の長い耳が彼の目に入った。
「痛い」
一通り動物達と戯れた後、便ジャミンはベンチ(便チ)から立ち上がった。
「名残惜しいけど、もう行かなきゃ。またね、小さき者たち。」
とことこ………とことこ……と、効果音がつきそうなほど華麗な足取りで歩いていると、ふと立ち止まり空を仰ぐ。そしてそのまま視線を近くの木に向ける。
「そこに居るんだろう?出ておいで、─サクラバ。」
名前を呼ばれ、反応するようにがさごそと木の枝が揺れる。
「ウキッ」
そこから顔を出したのは一匹の小さな子猿だった。
子猿は便ジャミンの肩に飛び乗る。
「僕が他の動物達と戯れていたのをずっと見ていたでしょう?仲間に入って来たら良かったのに。」
ね?、と問い掛けるとサクラバは「ウキッ…」っと一鳴きし黙り込む。
「…なんてね。冗談だよ。わざと他の動物達と話してたの。君に嫉妬して欲しくて。」
その言葉を聞いたサクラバはばっと顔を上げる。つぶらな目には涙が溜まっていた。
「ウキッ……キモキモ……」
便ジャミンは知っている。
サクラバが言うキモキモは大好きのサインだと。
その小さな唇に口付ける………ブチュッ ジュルッ ズズズーッ。
口付けられ真っ赤になった子猿は駐輪場に置いてあった自転車に飛び乗り逃げて行く。お菓子を貪りながら────。
「クスッ、またおいで。」
そう呟くと子猿の後ろ姿を見送り柔らかく微笑んだ。
『───臨時ニュースです。本日未明、埼玉学園の便ジャミン・サンリオ・キャラバンさんが遺体で発見されました。死因は猿モネラ菌の可能性が強まっています。犯人は子猿。近くにあった自転車を盗難し、お菓子を貪りながら逃走したとの情報が入っています。子猿を捕獲した方には謝礼として50万円を────』
END.