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頼むから俺を巻き込まないでくれ。

第1章 日常をぶち壊される


色んな準備に追われる間に転校当日がやってきた。届いて間もない箱根学園の制服の袖を通した自分はアニメのキャラのようでなんだか現実味がない。
母さんは似合うと言ってくれたが柄や色のせいでコスプレに見える気がするのは俺の感覚がおかしいからだろうか。どちらにしろ、中高と学ランだった俺には、派手すぎるこの制服は似合わないように思えた。
母さんの車に揺られて、目的地に到着する。
ここが、あと2年俺が過ごす学校、箱根学園だ。
まず感想を言うと、でかい。そしてうるさい。どうやらここは部活動が盛んな学校のようで、朝練をしている部員達が大勢見受けられる。いや、正門入ってすぐのところで半裸で筋トレするのはどうかと思うぞ柔道部諸君。
「じゃあ母さん行くからね。あとは自分でがんばりなさい」
「おー」
ぶーんと随分燃費の悪くなった軽四が正門を出ていく。
よし、まずは職員室だな。
「……」
と、思ったものの、そもそも職員室の場所が分からなかった。目の前にいる柔道部の部員に話しかけようとも思ったが、朝練の最中に邪魔するのもなんだか申し訳ない。
誰か暇そうにしてる奴はいないかと辺りを見回すと、1人だけいた。自動販売機の前でペットボトルを持っている男が。全身ぴっちりコーデだが自転車競技部の奴だろうか。自販機の隣には黒いロードバイクが立てかけられているし。茶髪でチャラそうだが背に腹は変えられん。聞きに行こう。
自販機の前の男に狙いを定めて近づいていくと向こうも俺には気づいたようでじっとこちらを伺ってくる。ある程度近づいたところで、男が歩きだした。俺の方に向かって。
「えっ」
なぜ。そう思う間もなく、俺は身動きがとれなくなっていた。目の前の男にホールドされていたから。だいぶ走ったのだろう、ほんのり汗の香りがする。
「愛斗!久しぶりだな!!」
ホールドが解除され、男の顔がはっきり見える。ぱっちり二重のタレ目、これでもかというほど高い鷲鼻、色気が漂う分厚い唇。ゆるいウェーブのついた茶色い髪には青のメッシュが入っている。
……こんなイケメン、俺の知り合いにいたっけ?
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