第20章 ♡Story17♡ 記憶
『私......もっとピアノが上手くなりたいです!』
『やっと本気になったね......そうと決まったら、
手加減はしないよ?(黒笑)』
ゾワァ...
『っ臨む、ところです......』
「......はーいOK!
撮影は順調だ、このままいけば初回放送日に間に合いそうだ!」
「ありがとうございます!」
「......。」
(百合ちゃん、一昨日より大分気合の入れ方が違う......
まるで、何かを忘れたいかのように......)
柊は複雑そうに百合を見つめた。
その後の撮影は順調に進み、予定より1時間早く今日の撮影が終了した。
「撮影が順調すぎて怖いくらいだよ(苦笑)
二人共、事故の後だがよく頑張ってくれてるな(微笑)」
「「ありがとうございます!」」
「......ねぇ百合ちゃん......」
「......?柊さん、どうしたんですか?」
百合が涼介と共に帰ろうとした時、柊が百合を引き留める。
「本当に......無理していない?」
「ぇ......?」
「分らないけど俺には......
何かを忘れようとしてるようにしか見えなかったんだ......。」
「っそんなことないですよ(苦笑)
私、もっとプロとしての自覚を持ちたいんです!」
「......」
(プロとしての自覚......仕事とプライベートは別、ってところか......)
「だから心配しないでください!
体調管理も、タレントの大事な仕事ですから(微笑)」
「偉いね、百合ちゃんは......」
「いいえ!私、まだまだ未熟ですけど
これからも頑張っていくつもりです!」
「そっか......わかった、俺の心配し過ぎだね(苦笑)
俺も、応援してる(微笑)」
「ありがとうございます、柊さん!
明日で初回の撮影は終わりですねよね?」
「うん、その予定だよ。」
「また明日、よろしくお願いします!」
「こっちも、よろしくね。」
「はい!」
百合は柊に手を振り、涼介の元へ走って行った。