第20章 ♡Story17♡ 記憶
「ネックレス......?」
「百合ちゃんの誕生日の前、俺と一緒に買いに行ったじゃないですか!」
「誕、生日......」
誕生日......全く何のことか分らない......。
「っ......!」
「っ百合ちゃん!」
百合は走って病室を出て行ってしまった。
「......。」
彼女は......俺にとってどんな存在、だったんだ?
俺はただ走って行った百合をただ見ることしかできなかった......。
「藤ヶ谷先生......本当に
百合ちゃんを覚えていないんですか?
何かの、冗談じゃないです、よね?」
冗談?北山先生じゃあるまいし......
「北山先生、本当に誰か分らないんです......
名前を聞いてもピンときませんし......」
「っそう、ですか......」
「すいません......」
「貴方が謝る事じゃないですよ......きっと、事故の影響で
一時的なものです......っ絶対、思い出しますから......」
何でそんなに悲しげに言うんだ......?
俺は、記憶喪失なのか?
記憶喪失なら、何で自分の事や北山先生の事は覚えているのに......
何で彼女の事は思い出せないんだろう......
太輔はリングのネックレスに目をやりながら思う。
「藤ヶ谷先生......」
そしてそんな太輔を複雑そうに見る宏光だった。