第19章 ♡Story16♡ 事故...
百合Side
あの後しばらく病室にいたけど
太輔が目を覚ますことはなかった。
だから明日も来ようと思う。
「藤ヶ谷先生、目を覚まさなかったね......
お医者さんも様子を見るしかないって言ってたし......。」
「えぇ、早く目を覚ましてくれればいいんですけどね。
藤ヶ谷さん......」
宏光と涼介は病室の外におり、
百合と柊はそこから少し離れた自販機の前にいた。
「百合ちゃんは、また明日来るのかい?」
「はい、学校帰りになりますけど......」
「そっか...凄く、大切な人なんだね。
君にとって......」
「はい、凄く大切な人です......」
「......はい、これは俺からのおごり。」
柊は百合に缶ジュースを渡す。
「ありがとうございます......柊さんにも、
大切な人っているんですか?」
「俺かい?」
「はい、やっぱりA.N.JELLの皆さんですか?」
「廉達も、俺にとってはかけがえのない人だよ。けどね、
他にいるよ?俺にとって、かけがえのない人......」
「彼女さんとかですか?」
「彼女、か......ううん、俺の片思いかもね......」
「片思いって、切ないですよね......」
(私だって、太輔と恋人同士になる前はずっと片思いだったし....)
「うん、凄く切ないよ...今でもね......」
「......柊さんが好きな人って、どんな人なんですか?」
「笑顔が、太陽みたいにとても素敵な子だよ。
彼女がいるだけで自分も明るくなれるから......。」
「素敵な人なんですね。」
「あぁ、とても素敵な人だよ......百合ちゃんみたいにね。」
「っそんなことないですよ!......でも、
柊さんの思いがその人に伝わるといいですね(微笑)」
「っそうだね......でも、
まだまだ先だと思うけど......」
「柊さん......」
(柊さん、凄く切なそう......とても、大切な人がいるんですね。
私が太輔を思うように......)
百合は切なく見える柊を自分と重ね合わせて思うのだった。