第19章 ♡Story16♡ 事故...
『百合!』
『っ!?』
涼介と柊の向こう側に、再びあの人物が姿を現す。
『っ太輔......太輔、なの?』
二人から遠く離れたところにいたのは
紛れもなく太輔だった......。
太輔はさっきのように百合を決して見下しはせず、
『百合......』
優しい表情で百合を見ていた。
『ね?さっきの彼は、
君が無意識のうちに作り上げた幻覚だったんだ。』
『っ太輔!』
咄嗟に走り出す百合。
走り出すのと同時に涼介と柊の姿は消えた。
百合は太輔の元へ我武者羅に走る、
たとえ、触れることが出来なくても......
『太輔!私のせいで本当にごめんなさい!
でも......っでも!』
『......。』
『絶対死なないでよね!?死んだら私......
ずぅぅぅっと太輔のことを恨んでやんだからぁぁぁぁ!』
泣き叫びながら言う百合......
『......(微笑)』
そんな百合を太輔は優しく見ていた。
『ありがとな、百合......(微笑)』
『っ太輔待って!行かないでよっ!!』
走り続けても二人の距離は縮まらなかった......
その代わり太輔は百合の元から少しずつ離れて行く。
『待ってってb....っ!』
百合は右足を捻らせ転んでしまった。
『っ......っ待ってよ!私を一人にしないでよ!!』
『ねぇ太輔ぇぇぇ!行かないでよ!っ......
ぃか、ないでよぉ.....ねぇ...た、い...すけ......』
百合は必死に手を伸ばすがその手は決して、
太輔に届くことはなかった......
そして百合の意識は徐々に薄れていくのだった......
私の夢はここで途切れたしまった......
お願いだから太輔......っ絶対に......
「っ太、輔......」
現実世界でベッドに横たわっている百合は
眠りながら涙を流していた......。
「百合ちゃん......」