第14章 ♡Story11♡ 誕生日
「よいしょっと!」
(桜の木はざらざらしてるから、登りやすいんだよね!)
「お姉さん大丈夫?」
男の子が心配そうに百合に声を掛けた。
「大丈夫だよ!もう少しで取れるからね(微笑)」
百合は下にいる2人に優しく微笑み返した。
そして百合は風船のあるところまで辿り着いた。
「よしっ!」
風船を手に取る百合。
「「やったぁ!お姉さん凄い!」」
2人は歓喜の声を上げた。
「へへへぇ~
今降りるから待っててね!」
百合が木を降りようとした時......
ずるっ!
「っ!?」
木登りをするうえで絶対起きてはいけないことが
起きてしまった......。
(嘘......)
百合は足を踏み外してしまった......。
「「きゃあぁぁ」」
2人が悲鳴をあげる.......。
「っ危ない百合!!」
だが悲鳴が上がるのと同時に先程公園を通りかかった人物が
桜の木の下まで走りだした。
そこから百合はスローモーションのように感じた。
泣いている女の子と男の子...
誰か分らない男の人の声...
そして木の枝から落下する自分自身...
(っ......もうダメ!)
百合は目を閉じ、地面に落ちるのを覚悟した......。
しかし......
地面に落ちる感覚は一つもなかった......。
あれ......痛く、ない......?
百合は痛い感覚もなく、
誰かに抱きかかえられているような感覚を覚えた。
「っ......」
目をゆっくり開ける百合......
「......っ!?」
目を開けた百合は目の前にいる
意外な人物に目を奪われた。
嘘......。
「太...す、け.....?」