第14章 ♡Story11♡ 誕生日
百合Side
「っ......」
百合は少しの涙を流しながら走っていた。
忘れてもしょうがないと言ったものの......
「うぅ...太輔のばかぁ...ばかばかばかぁ!」
誕生日を覚えていて欲しかったのが本望だった。
しばらく走った百合......
「はぁ...はぁ...はぁ......
大分走ったから、凄く疲れた......。」
その場に止まり、足を休ませた。
丁度そこには公園があり......
「......公園のベンチで少し休もうかな。」
公園で休むことにした。
公園には小さい子供達が沢山いた。
「今日は土曜日だもんね......」
「よいしょっと......」
ベンチに腰掛けた百合。
「はぁあ......
彼女の誕生日くらい覚えとけっつーの......」
顔を下に俯かせる百合。
それと同時に......
「あぁ!風船木の上に引っかかっちゃったよぉ......。」
「でもあんな高い所まで登れないよぉ......。」
男の子と女の子が公園の真ん中にある、
大きな桜の木の下にいた。
どうやら風船を手から離してしまい
木の間に挟まってしまったようだった。
百合は子供たちの元に歩いて行った。
「うぅ...風船さん......(泣)」
「美菜諦めなよ!」
「だってぇ......(泣)」
風船の持ち主である女の子はその場で泣き出した。
「大丈夫!
私が今取ってきてあげるから泣かないで?(微笑)」
百合は女の子の頭を撫でながら言った。
「「ほんとっ!?」」
女の子と男の子は目を輝かせて百合を見た。
「うん!お姉さんこう見えても木登り得意だから!」
得意って言っても小学生以来上ってないけどね(苦笑)
「待ってて!今取ってくるからね!」
百合は履いていたサンダルを脱ぎ、
裸足で桜の木に登り始める。
「......ん?あれって......」
百合が昇り始めたのと同時に、
偶然通りかかったであろう人物が百合へ視線を送った。