【CDC企画】Pink Heart Balloonをあなたに
第1章 【流川楓】 君に出会ったその日から
「本当にチビでシワだらけで、不安になるほどハゲてたが・・・他のどのガキよりも可愛かった」
触れたら今にも壊れそうな、新生児。
自分と加州のところに生まれてきてくれた。
深い感動と愛情で、娘から片時も離れたくなかった、あの日。
「バスケに出会って初めて、ボールを一度も触らなかった。もみじとずっと一緒にいたかった」
「・・・・・・・・・・・・」
「だから、おめーも、ママも、同じくらいオレにとっては大事」
父親になるには若すぎると陰口を叩かれた。
バスケットしかできない将来性のない男が、どうやって家族を養うことができるのかと嘲笑された。
関係ないとは思っていても、嫌でも耳に入ってくる。
大きなお世話だ。
誰に何を言われようと・・・
加州ともみじは何があっても守る。
たとえ、バスケットができなくなったとしても・・・
「パパ・・・」
もみじが真っ赤な顔を流川に向けた。
今までの言葉の、いったいどれだけをこの5歳の少女は理解することができただろう。
涙を目に溜めながら、父に笑顔を見せる。
「もみじも、パパがだいじ」
「そーか」
「もみじも、パパのことだいすき」
「そーか」
淡々と返しているが、娘の言葉ひとつひとつが愛しくてたまらない。
こればっかりは加州にすら分けたくない、自分ともみじだけのもの。
「だからね・・・もみじね・・・」
流川のジャージの胸元にある、チームロゴをギュッと掴む。
「パパがバスケットしてるの、もっとみたい」
その言葉に、流川の瞳が大きく開いた。