【CDC企画】Pink Heart Balloonをあなたに
第1章 【流川楓】 君に出会ったその日から
「なに言ってる。オレは、おめーのことが大好きだ」
「ママよりも?」
「なんで比べなきゃなんねーんだ」
「だって、ママには負けたくない」
・・・だから、この負けず嫌いはいったい誰譲りなんだ?
「はー」
思わず盛大なため息が出てしまう。
それを見てもみじは、また目にいっぱい涙を浮かべた。
「うわーん! やっぱりパパはママの方が好きなんだぁ!!」
「・・・オイ・・・」
・・・この泣き虫なところは、絶対に自分譲りではないと断言できる。
泣きじゃくる娘を前に、どうして良いか分からなかった。
こういう時は菓子をあげればいいのか?
それともオモチャを買えばいいのか?
アイツは・・・どうしていたっけ?
普段はあまり使う使うことのない脳みそをフル回転させる。
しかし、なかなか良い考えが思い浮かばない。
「ちっ・・・めんどくせーな」
こうなったら、最後の手段。
流川は右膝をかばいながら立ち上がると、ブランコから小さな体を抱き上げた。
「必殺、ムギュー攻撃」
「ひゃッ」
ぎゅーっと娘を抱きしめる。
ちょっとキツすぎたのか、もみじがケホッと小さく咳き込んだ。
「泣き止まねーと、ずっとこのままだぞ」
「パパァ・・・! くるしーよ」
とは言うものの、愛くるしい娘をギュッとするのは悪くない。
このままもうちょっとだけ泣いててもいいぞ、と本心では思っていた。
「おい、もみじ」
「ひっく」
落ちないように必死にしがみついてくる娘が可愛くて、愛しくて、たまらない。