【CDC企画】Pink Heart Balloonをあなたに
第1章 【流川楓】 君に出会ったその日から
確かに、よその父親とちがってあまり子どもとワイワイやるようなタイプではない。
“お人形さんごっこ”をしようと言われても無理だし、絵本を読むのも苦手だ。
一緒に歌をうたうこともできないし、アニメを見ていても途中で寝てしまう。
もみじはむしろ、近頃よく遊びに来る桜木の方に懐いている印象だ。
“キツネに似なくて良かったなー、もみじ!”
・・・思い出すだけで腹がたつ。
“なんだ、お人形さんごっこか? よし、この天才が特別に世界征服を企む・・・ってそういうことじゃねーのか?”
・・・悔しーけど、オレよりと遊ぶより楽しそうだった。
だが、もっと娘と一緒の時間を作った方がいいのか?
今だって一緒に風呂に入るし、たまに“怖い夢を見た”と言ってきた時はギューっと抱きしめながら一緒に寝る。
まだ、たんねーのか?
流川は頭をボリボリと掻いた。
「じゃー・・・今度、一緒に遊園地行くか?」
「パパとふたりだけ?」
「ママも一緒じゃいやなのか」
「イヤだ」
・・・この頑固さはいったい誰譲りなんだろうか。
「なんでそんなにママを嫌がるんだ?」
「だから、パパをひとりじめするからだよ。それに・・・」
「それに?」
「パパだって、もみじよりもママが好きでしょ!」
なんだ・・・?
こんなチビのくせにヤキモチを妬いているのか?
流川は驚きながらも、そんな幼い娘が愛しく思えた。
母親譲りのフワフワなくせ毛をクシャッと撫でる。