【CDC企画】Pink Heart Balloonをあなたに
第2章 【阿散井恋次】 野良犬の願い
「着いたぞ」
「クロサキ・・・医院?」
何故に病院? と思わず首を傾げずにはいられない。
恋次はそんな加州に構わず、脇にある玄関の呼び鈴を押した。
すると、すぐにドアが開き、中から出てきたのはオレンジ色の髪の毛をした高校生。
「遅かったじゃねぇか、約束は10時だったんじゃねぇのかよ?」
「コイツが2時間も遅刻したんだよ」
恋次が親指を指差したのを見て、高校生は加州に目を向けた。
眉間にシワが寄っているのは元々のクセなのだろうが、加州を見た瞬間、難しそうな顔をする。
「・・・・・・・・・・・・」
「オイ、あんまりコイツをビビらせんなよ。ただでさえテメェは人相悪いんだからよ」
「ア? テメェに言われたかねーな! そんなことを言ってんなら、ウチの台所貸さねーぞ!」
顔を突き合わせた途端、いきなりケンカが始まる。
もうどうでもいいからこの場から去りたかった。
「あの・・・私、やっぱり帰・・・」
加州が帰ると言いかけた瞬間、オレンジ色の髪をした高校生の向こうからさらに大きな声が飛んできた。
「やめんか、莫迦者共!」
「黒崎君も、阿散井君もケンカはダメだよ!」
「ル、ルキア・・・」
「井上・・・」
喧嘩を一瞬で止めてしまったのは、2人の女子高生。
一人は黒髪に大きな瞳が印象的で、もう一人は目を見張るほどの巨乳にとても可愛い顔をしている。
「失礼した。私は朽木ルキア、この莫迦は黒崎一護だ」
「バカは余計だ、ルキア」
「私は井上織姫。よろしくね、えーと・・・」
「あ、仁奈加州です」
慌てて名乗ると、織姫は一瞬間を置いてから優しい目で微笑んだ。
「今日は私と朽木さんがチョコレートを作るお手伝いをするね、加州ちゃん」
「よろしくお願いします」
良かった、この二人はまともそうだ。
それにしても、恋次とはいったいどういう仲なのだろう。
一護、ルキア、織姫は高校生のようだが、恋次はどう転んでもそうは見えない。