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【CDC企画】Pink Heart Balloonをあなたに

第2章 【阿散井恋次】 野良犬の願い




「オメーを見てると、俺の幼馴染を思い出すんだよ。今は違うが、昔はよく寂しそうな顔でずーっと遠くを見ていてな」
「・・・・・・・・・・・・」
「どうにか笑顔にしてやりてぇって思うのに、遠くに行っちまったアイツに俺がしてやれることはねぇから歯痒かった」


南流魂街78地区「戌吊」で、幼い頃から身を寄せ合うようにして生きてきたルキア。
朽木家の令嬢になったその日から、彼女は寂しそうな瞳をするようになっていた。

何よりも願ったのはルキアの幸せ。
だから断腸の思いで彼女の手を離したのに、ルキアは少しも幸せそうには見えなかった。

加州は当時のルキアによく似ている。
無論、外見はまったく違うが、身に纏う雰囲気がそっくりだ。

恋次は戸惑い顏の加州をチラリと見ると、その頰をつねった。


「だから、オメーも笑顔にしてやりてぇって、ただそう思っただけだ」

「い・・・痛い」


黒崎一護に出会って、ルキアは変わった。
もし、誰かとの出会いで、人を変えることができるなら・・・


今度は自分がその“誰か”になりたい。


寒空の下、土手で背中を小さく丸めている加州を見て思った。



「で! あそこで玉蹴りしている中の、どのガキに惚れてんだ?」
「そ、それを知ってどうするんですか?!」
「決まってんだろ、告白すんだよ! じゃねーと、何も始まんねぇぞ」
「無理ですよ! 話したことないし、向こうは私の顔すら知らないんですから!」
「だから告白して、自己紹介すりゃいいじゃねぇか」


む・・・無茶苦茶だ!
一瞬でも“この人はいいヒトかもしれない”などと思った自分がバカだった。


「ほら、行くぞ! ちょうどアイツらも休憩しているようだしな」
「ちょ、恋次さん!」
「どいつだ? あの坊主か? それともあの緑の服を着ている奴か? まさか、あのデブじゃねぇだろうな」

見事にどれも外れているが、あえて返事はしなかった。
そうしないと正解を教えなくてはいけない。



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