【CDC企画】Pink Heart Balloonをあなたに
第2章 【阿散井恋次】 野良犬の願い
「おめー、よくここにいるよな。好きなのか、球蹴り」
「た・・・球蹴りって・・・」
サッカーのことだろうか。
そんな言い方をする人、初めて見た。
やはり怪しい。
「・・・別に、好きってわけじゃ・・・」
サッカーが好きなんじゃなくて、あそこでプレーしている人が好きなんだ。
それに、どうやったって自分はサッカーをやるようなタイプには見えないだろう。
「しっかし、この寒さの中でよく飽きずにここにいるな」
「・・・別に寒くないし」
「・・・ああ、まあな」
その怪しすぎる男は頭をボリボリとかいた。
ほんの少しだけニット帽がずれ、額に掘られたタトゥーがちらりと見える。
頭に刺青をいれるなんて、まともな人間じゃない!
一切関わりたくないと、その場を立ち去ろうとした。
「あ、おい!」
「急いでますので」
その変人は何故か加州を引きとめようとしたが、タッチの差でかわす。
一緒に話しているのを見られて、あの人に同類だと思われたくない。
サッカーの行方を見ることなく足早に去った、1月31日。