第2章 誰も知らない
土方さんから許可も下りて、早速着替えを済ませて山崎さんと共に市中を歩く。
「君のその姿を見るのもこれで2度目になるか。」
「へ、変ですか?」
「いや、とてもよく似合っている。」
薄紅色の着物に身を包み、髪も結い上げてかんざしが風に揺れる。
懐かしさと少しの違和感を感じながら出来るだけ自然に見えるように普段通りの仕草で。
「でもどうすれば恋仲に見えるんでしょうか。」
私には恋愛経験なんてないし恋仲と言われてもどうすればいいのかさっぱりわからない。
いつまでもぎこちなく歩いているだけでは流石にと思って切り出してみた。
「君は私と手を繋いで歩いてくれればいい。むこうの茶屋で団子でも頂こう。」
山崎さんはそう言うと同時に私の手を取り、茶屋に向かって真っ直ぐ進む。
きっと今の私の顔は真っ赤に染まっていると思うけど、幸いにも振り向く様子のない山崎さん。きっと見られないよね。
その後茶屋に着くとお茶とお団子を頂いて。些細な会話をしながらだったけどお店の中での不穏な動きとか怪しい会話とかにも気を回していた。
でもその人達はどんどん中に入ってしまって外で様子を探っていた私達が見えない聞けない状態になってしまう。
山崎さんは私に待機を命じると後を追って店内へ消えていく。
ここからは2人で行った方が余計目立つと思ったんじゃないかな。
でも私は山崎さんと離れた事でちょっと困った事になってしまったんだ。