第8章 ほろ苦く、甘い
「でもな、幾ら告白して想いが通じあったって、いきなりそういう即物的なのはどうかと思うんだわ。そういうのはちゃんと相手の気持ちが固まるまで待ってやってだな……」
「告白って、誰が誰にですか?」
「……うん?だからお前だろ。お前が蓮見に告白したんだろ」
「え?俺が蓮見に?いつ?」
「…………うん?」
噛み合わない話に黒尾先輩は首を傾げた。
背後の孤爪先輩と夜久先輩の纏う温度が急激に下がった。
「……確認しよう。お前は蓮見に告白した。もしくはされた。それをお互い受け入れた。だからお前は気持ちが高ぶり思わず蓮見を押し倒した。オーケー?」
「ノーです。告白とかしてないです。俺らそういうんじゃないんで」
「……じゃあ、何で押し倒した?」
「それは……」
視線を巡らせたリエーフが、不意に私の方を見る。
パチリと合った緑の目からは、あのぞくりとするような熱は消え失せていた。
代わりにあったのは、心底純粋な疑問。
「……何でだろう?」
「…………」
「………………」
誰もが無言だった。
「……オーケー、わかった。リエーフよ。ちょっと向こうで話そうか」
「ねぇ、クロ。最近やってるゲームで敵兵を捕まえて拷問するっていうのがあってね……。それが割りと現実的で実践的なんだ」
「何でそんなヤバイもんが販売されてるのか甚だ疑問だが、今回ばかりはグッジョブだ」