第6章 恋なんてしなくていい
「でも、蓮見に嫌われたんじゃなくて、良かった」
切れ長の目尻を緩めて笑うと、机に置いてある箱を見た。
「なぁ、そのチョコって……」
「……開けちゃったけど、食べる?前に言ってたご褒美なんだけど」
「ホントか!?食べる!!」
パッと顔を輝かせる。
笑いながら差し出しせば、腰を屈めてぱかりと大きく口を開けた。
……食べさせろってことですね。
「仕方ないなぁ」
口ではそう言いながら、甘えられることが嬉しくて仕方なかった。
他の子にとっては男の子でも、私にとってのリエーフは、やっぱり甘えたな弟のような存在。
他の人からはおかしく見えても、私たちはこれでいい。……いいはずだ。
「告白したあの子には悪いけど……良かった」
幸せそうに口を動かすリエーフを見ながら、自然と笑みが浮かんだ。
「リエーフの隣に私以外の誰かが居るのは、嫌だなって思ったから」
「――……」
見開かれた、緑色の瞳。
その意味に気付くことなく、空になった箱を片付けようと手を伸ばせば、その手を取られた。