第4章 全てはリエーフのため
……そういえば、友人たちは『狙ってる子も居るけど、ことりが居るから普段は水面下で燻ってる』とかなんとか言っていなかっただろうか。
幾ら気になっている人でも、『友達だ』とお互い主張しているとはいえ、抱き着いたりベタベタ張り付いてる女子がいたら、近付きがたいだろう。
始まる恋も始まらない。
つまり……私って邪魔者?
「マジか……」
思わず掌で目を覆う。
気付かなかった。
本人にその気があるのかないのかは別として、リエーフの恋の芽を知らない内に摘み取っていたなんて。
これは、マズイ。
今更ながら、私達の距離感に疑問を覚える。
「やっぱり、私達って異性の友達にしては近すぎるんだよね、絶対……」
リエーフの視野は、きっと狭すぎるのだ。
私との距離に慣れてしまったことで、それが友愛でしかなくとも、私以外の女子が目に入らなくなってしまっている。
自分を見る女の子の視線にも、気付けないのだ。
今は良くても、その視野の狭さは将来のリエーフの交遊関係にも影響を及ぼしかねない。
……少し、距離を取ろう。
バレンタインデーも近いことだし。
リエーフに気のある女の子たちが、彼に近付ける機会を作らなくては。
妙な使命感に駆られて、ベッドから起き上がり「よしっ」と気合いを入れる。
気分は恋のキューピッド。
相手が居るかも定かじゃないのに、友人としてリエーフの恋をサポートしようと決意するのだった。