第4章 全てはリエーフのため
帰宅して、制服のままベッドに飛び込む。
皺になってしまうことはわかっていたが、それより疲労感が勝る。
流石に、二十人近い人の分のクッキーの材料を、一人で買い出しするのは堪えた。
普段バレー部員が、交代で買い出しに付き合ってくれるありがたさが身に染みた。
「はぁ……」
ため息をついて、ごろりと寝返りを打つ。
天井をぼんやり眺めていると、友人たちの言葉が蘇った。
『ことり、知らないの?アイツあれでちょっと人気あるんだよ?』
『……もしかすると、今度のバレンタインをきっかけに告白されちゃったりもするかもねー』
初めて、知った。
リエーフが、周囲の女の子たちからそんな風に思われていたこと。
確かに、堀の深い顔は小さくスッキリ整っていて、背は高くて手足も長い。
性格はちょっとアホだし空気も読めないけど、素直で明るい。誰にでも別け隔てなく接するから、友達も多くて、常にクラスの中心に居る。
運動神経はずば抜けていて、全国大会まで行った強豪バレー部のレギュラー。
スパイクを決める瞬間なんかは、もう文句なしにカッコいい。
……って、あれ?
「もしかして……リエーフって、よく考えたらかなりのハイスペック……?」
頭の出来を除けば、ほぼ完璧に女子が好む男子の典型的なプロフィールだった。
寧ろ今までモテなかったことが不思議なくらい。