第1章 苦いお菓子
「……あのね、祐樹。私は、祐樹の事、大好きだよ」
突然の秋音からの告白。
あまりにも唐突過ぎて、思考がついて行かない。
「だから、祐樹がヤキモチ焼いてくれてちょっと嬉しかった。だって、それだけ私の事が好きってことでしょ?」
秋音がニッと笑い、俺の背中に手をまわして、抱きついてくる。
温かく、優しい重みに、半歩後ろへ下がってしまう。
「ありがと、祐樹」
俺の胸の中で、秋音がくすくす笑ったような気がした。
恐る恐る秋音の背中に手を回し、抱きしめ返す。
「俺も……ありがとう」
もうすぐ部活が始まるけれど、もう少しこのままでいたい。
そんなことを思いながら、俺は小さく微笑みを浮かべる。
秋音からは、ほんのりと、甘いチョコレートの香りがした。
その後、由島が女子軍と一緒にやってきて、からかってきたのは、また別の話。