第19章 今日からあなたの彼氏です
【桜井 良】
「スイマセン!!スイマセン!!」
体育館に響く桜井くんの謝る声。
彼は何もしていないのによく謝っている。
今だって、私の為に謝っている。
「桜井くん、ごめんね」
「なんで僕に?」
「いつも私の為に謝ってくれるから…」
「夏姫さんだからかな?」
「え?」
「僕、夏姫さんの為なら何回だって謝りますよ」
「どうして、私なの」
「好きだからです。夏姫さんが好きだからです」
桜井くんが私を…
好き?
「でも、私…」
「僕とお付き合いしてくれませんか?」
「は………い」
私は縮こまり気味に答えた。
「えっと…末永くよろしくお願いします」
「こ…こちらこそ」
ゴツン―――――
2人揃って頭を下げた時にぶつかり合った。
「スイマセン!!スイマセン…大丈夫?」
「スイマセン…大丈夫です」
桜井くんが謝る回数が今日から数えきれないほどに増えたそうな…