第16章 離れていても【虹村修造】
『卒業したらアメリカに行く━━━』
今年に入ってやっとアイツに話せた。
本当はもっと前に話すはずだった。
一緒にいればいるほど心が揺らいで話せなくなった。
一緒に来て欲しい━━━
そんな台詞は中学生の俺には言う資格も覚悟も無い…………いや、無かった。
式の後、赤司たちと少し話した位で俺は一旦家に帰宅して空港へ向かった。
『シュウくん!!』
頭の中はアイツでいっぱいだった。
ちゃんとした別れもしないでここへ来てしまった。
1年後輩のアイツ
しっかりしてるようで本当はスゲー危なっかしくて
誰よりも俺の事わかってて
誰よりも俺の側で泣いて、笑って
だからこそ別れが辛かった。
15年というまだ短い人生だが、本気で惚れた女はアイツだけだ。
これからもアイツ以上に惚れる女はおそらくいない。
だけど、アイツは…
俺がアメリカにいる間アイツに彼氏と呼ばれる男が現れるかも知れない。
『━━━悪いがコイツは俺の女だ』
なんてもう、言えないからな。
次に言うのは赤司か?
それとも、緑間……は無い。
黄瀬も……無い。
青峰は危険だ。
紫原と黒子はまず無い。
灰崎…奴も危険だ。
下手したらスグに喰われる。
つーかろくなヤツいねーよ。
全員論外だ。