第56章 花【黒子テツヤ】
4月に入り外に出ればピンク色の綺麗な桜が蕾を開き満開になっていた。
「わん!」
天気も良いので僕は2号を連れて公園に散歩に来ていた。
今の時期、公園はお花見客で賑わっていた。
半分以上は花より団子状態みたいですけど…
「2号、もう少し歩きましょうか」
「わん!」
ここでは2号が走り回る場所も、僕が休める場所もなかった。
暫く歩き、人ごみを抜けるとさっきほど桜の木はありませんでしたが1人で来るには十分の場所に辿り着いた。
ここはピンク色の桜よりも新緑が目立つ落ち着いた所だった。
桜の木の下にある小さなベンチ。
そこには既に先客が座っていた。
「すみません、隣良いですか?」
「どうぞ………あれ?黒子くん」
「夏姫さん…」
座っていたのは帝光時代のマネージャーの夏姫さんでした。
「久しぶりだね」
「はい」
途中で引っ越してしまいましたが、当時より大人びて綺麗でした。
「どうして、ここへ?」
「また引っ越して来たの。今度から誠凛高校に通うの」
「誠凛…ですか?」
「知ってるの?」
知ってるもなにも誠凛は
「僕の通ってる学校です」
「ホント!?」
パッとみせる笑顔は当時のままで僕の好きな笑顔だった。