第55章 雪が降ったら
【赤司】
「夏姫!もう少しこっち来いよ!」
「そうよ、せっかく皆で来たんだから!」
「きゃっ!」
今日、京都では雪が降り練習は早々に切り上げ、実渕の発案で足湯に来ていた。
温泉となると夏姫も一緒に入れないからとのことらしいが…
離れていた夏姫は実渕によりオレの隣に座った。
「これで心も身体もポカポカよ!ね、征ちゃん」
「ふ……そうだな」
「あ、赤司くん!」
「オレは上がる…これ以上長湯したら色々疲れるからな」
本を読んでいた黛さんは数分で上がってしまった。
「じゃあ、私たちも…」
「早くね?レオ姉…」
「いいの!行くわよ!」
実渕は葉山と根武谷を連れて行ってしまい、ここにはオレと夏姫の2人だった。
他の客もいないため貸し切り状態だった。
オレはそっと夏姫に手を重ねた。
「赤司くん?」
「夏姫……」
見つめ合うと自然と顔が近づき後少しで唇が重なる
その時だった。
「………!」
「………!!!」
遠くからの視線と聞き覚えのある声。
「ふっ……どうやらお預けのようだね」
「え……!?」
夏姫は気づいて居ないようだったがそこにいたのは先に上がった実渕たち。
「この続きはまた後で…」
夏姫の耳元でそうつぶやいた。