第30章 彼女に○○着せてみた【黒子テツヤ】
「黒子くん、黒子くん!!」
夏姫に呼ばれ僕は足を止めた。
人気の無い図書室はいつも以上に静かだった。
「どうしたの?黒子くん」
「え?」
ここに来た特別な理由は無かった。
夏姫は僕の顔を心配そうに覗き込んだ。
僕は来ていた制服の上着を夏姫に着せた。
「夏姫、カントクに言われたからってそんな格好しないで下さい。目のやり場に困ります」
「ごめんね…」
「でも、僕だけに見せてくれるなら着ても大丈夫ですけど…」
夏姫は頬を真っ赤に染めてうつむいていた。
可愛いですね…相変わらず。
「んっ……」
僕は夏姫の唇に触れた。
「夏姫、あれ言ってくれませんか?」
「あれ…って?」
「メイド服と言えばあの台詞ですよ」
夏姫は気付いたようで更に頬が赤くなった。
「ご…………御主人様」
「何ですか?メイドさん」
「ふぇ!?」
まさか続くとは思っていなかったようだ。
「御主人様…好きです」
「僕も好きですよ…メイドさん」
これは僕も思っていなかった展開だった。
僕は、僕だけの可愛いメイドさんとそっとキスを交わした。