第27章 【料理】
当然次の日の部活で結果報告である。
「どーだったよ、縁下。」
すぐ聞いてきたのは田中である。
「ほぼ問題なかった。」
「ほぼとは。」
「味がちょい薄かった。おばあちゃんの影響っぽい。でも怪我もしてないし鍋も焦げてないし基本美味しかった。」
「マジかーっ。」
「弁当も普通に食えてたもんな。やっぱり心配しすぎだよ。」
成田が笑いながら言う。
「俺が言ったの当たったな。」
「やっぱ思い込みかー。」
木下も口を挟む。
「どんどんやらせてあげたらいい。」
清水が通りすがりにボソリという。
「数やらないと。縁下はその辺が過保護だと思う。」
「あ、ありがとうございます。」
清水に助言をもらったのはいいがここで例によって愛すべき阿呆共が騒ぎ出す。
「縁下てめえええええっ。」
「力ゴルァッ、潔子さんにアドバイスもらうとか羨ましすぎだぞっ。」
「やめろっ、俺狙ったんじゃないからっ。」
「にににに西谷、よせっ、大地に怒られるっ。」
「田中もやめろっ、縁下に危害加えたら美沙ちゃんが突撃してくるぞっ。」
東峰と菅原が慌てて阿呆共を羽交い締めにして止める。
「根本問題いいですか。」
月島が片手を上げて言った。
「縁下さんは今妹しか眼中にないんですから清水先輩にどうこうある訳ないのでは。てかないデショ。」
羽交い締めにされていた阿呆共はそれを聞いて固まり今度こそ大人しくなった。既に後ろで澤村が何かの圧力を醸(かも)し始めていたので間一髪である。力は安堵した。