第4章 【ハンドルネーム ままコさん】
「私、カッコウやないもん。」
「托卵(たくらん)しないってか、お前らしいけどボツ。」
「あかんか。」
「まあ田中や西谷じゃまずあり得ない発想だからそういう点では面白いけど。だいたいお前理数苦手な癖にそういうのはよく知ってるね。」
「ちなみにエリンギはハラタケ目ヒラタケ科ヒラタケ属やで。」
「次は学名でも覚える気か。」
「それえーかも。」
「こらっ、普通の事も覚えろっ。」
力が言うと美沙はキャーッとおどけて部屋に入ってしまう。
「まったく。」
そして力は気付いた。
「やられた。」
どさくさに紛れて逃げられてしまった。義妹は単純だ、ゆえに普段は人を嵌めたりしない。油断したようだ。
「しょうがない。」
力は一旦諦めた。