• テキストサイズ

【ハイキュー】エンノシタイモウト

第25章 【結局のところ】


「成田、お前まで何言ってんだよっ。」
「ここまで来たらそう思いたくもなるって。」
「やめろよっ。」
「何だ力、美沙の誕生日プレゼントでも考えてるのか。良かったら俺がTシャツ考えてやるぞっ。」
「いや気持ちだけでいいよ。」
「うーん、美沙だったら何だ、やっぱ違法電波か。」
「西谷覚えてろ、後ではっ倒すからな。」
「何でだよっ。」
「こらお前らっ、またいつまで喋ってるんだ。」

わあわあやっていると澤村に怒られる。

「縁下や成田までどうしたんだ、頼むぞ。」
「すみません、大地さん。」

力は謝るが澤村の様子が何だかおかしいことに気がついた。澤村はふむ、と顎に手をやりながら美沙の方に目をやっている。しばらくそうしてから彼は言った。

「首輪はやめとけよ、あの子は首輪抜けしそうだ。」

まさかの発言に流石の力も驚き、澤村の方をバッと見ると当の主将はニヤッと笑っていた。

「勘弁してください、大地さん。」
「二階に上げる許可出したんだからこれくらいは役得だろ。」

力はため息をついた。一連のバレー部の連中によるやり取りの間、美沙は英語の問題集と格闘していて義兄が主将にまで弄られていることには気がついていなかった。

そして練習の合間の休憩時間のことである。

「縁下、お前またか。」

美沙がいる方を見やりコーチの烏養が唸った。

「すみません。」
「いや、今回は話聞いてたしいいつったけどよ。」

何とも言えない顔の烏養に力は曖昧な笑みを返す。

「そんな近くに置いとかないと心配か。」
「あー、ちょっと危なっかしい奴なんで。」

言いながら力は危なっかしいのはむしろ自分かもと思う。

「お前妹が絡むと途端に不思議な行動とるよな。」

力はギクリとし、何かを察したように烏養は呟いた。

「まあ今の内だけだ、適宜やれ。先生とかに手間かけない程度にな。」
「ありがとうございます。」

美沙は二階からそんな義兄とコーチの様子を見ていて、自分の話であることを察したのですぐにでも帰りたくなった。が、それは義兄が困るかもと我慢してうずくまったままだった。眠気を我慢できなかったのはまずかったかもしれない。
/ 224ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp