第23章 【飾りか枷か】
「あの子はなーんも意識せずに俺をうまいこと使ってるのかもね。烏野の中じゃどっからおにーちゃんの耳に入るかわかんないから迂闊に悩みも言えないのかも。」
岩泉はそんな及川を見つめて言った。
「そんでおめーはあの6番の妹をどうしたいんだ、兄貴からかっさらいたいのか。」
及川はそうだね、と言った。
「最初はただ面白そうなお友達程度だったけど、今はちょっと欲しいかも。」
岩泉はぼそりと呟く。
「携帯の番号とメルアドも書いたもん渡したっつったな。」
「多分おにーちゃんが影で糸引いてるね。どっかで握り潰したんじゃないかな。」
「それでもあいつがID教えたのは何でだ。」
「ハンカチ届けたお礼きたからそれじゃない、律儀だよね。」
「おかげでグズ川の駄弁りに付き合わされるようになった訳だ。」
「どんだけいうのさっ。あーあ、やっぱりいーな縁下君。」
及川は膨れっつらで言う。岩泉はふ、と笑って呟いた。
「とりあえず刺される心配はなさそうな相手だわな。」
「岩ちゃん、俺をなんだと思ってんのさっ。」
女絡みで怨み買いやすそうな奴に決まってんだろ、と岩泉は容赦なく言って話を結んだ。
次章に続く