第22章 【きっかけ】
「お前さ、いきなり義理の妹が出来てその子が大して日もたってないのに自分を兄さんって言ってくれてさ、一生懸命話そうしてくれたりとか兄貴が嫌な事されたら怒ってくれたりとかしてくれてたらどうだ。」
「そりゃ嬉しいかもな。下手したら萌えの域。」
「俺が今そんな感じ。」
「おおぅ。」
木下はなんてこったという顔をする。
「お前らは知らないかもだけど、あいつ敬語抜けない時から結構家では明るいんだよ。」
「まあ今でも口開いたら結構賑やかだけど。」
成田が呟く。力は頷いて話を進める。
「さすがに最初はそうでもなかったけどさ、ちょっとずつこう明るく話そうとしてたんだよな。」
「うまく話せない名前呼べないと悩んでた兄貴を他所に。」
ニヤりとする木下に力はうるさいと返す。
「その通りだけどさ。多分あいつが人見知りなとこおして家帰ったらほぼ必ずおかえりって顔だしてくれて俺と話そうとしてくれなかったら今もまともに話してなかったかも。」
木下と成田はだまって話を聞いていた。
「まあきっかけってのがさ、覚えてるか、大分前に誰かが俺の悪口言って美沙が言い返したら突き飛ばされたらしいって田中が言ってたの。」
「覚えてる、」
成田が言った。
「田中が見た時は事が終わっちゃってて止められなくて悪いってすごく謝ってた。田中が悪いんじゃないのにな。」
「そう、あの前の日美沙の様子おかしかったんだよな。」