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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第18章 【及川の突撃】


「とりあえず人の妹に初対面で手を握ったりとかやめてください、ああ見えて繊細なんで相当困ったみたいです。」
「いやいや俺だってお話ししてる途中にげられたんだけど。」
「知ってます、今度貴方が触ってきたら粉だらけのところに連れてって火花飛ばすように言いつけてますんで。」
「つまりどゆことかな。」
「駄目ですよ縁下さん、それつまり妹に触る奴は爆発しろってことじゃないですか。」

月島が言うとここで他の烏野の面子がぶぶぶと吹き出す。

「ちょっとっ、兄妹揃って可愛い顔でひどすぎっ。澤村君も何とか言ってやってよ。」
「すまん、こればっかりは俺も。」
「何なのこのチーム、恐ろしい子達っ。」
「あの、話がそれまくって収拾つかないんでそろそろ美沙の落し物を受け取りたいんですが。」

及川はああごめん、と言い鞄をゴソゴソと探る。取り出したのは小さな紙袋だった。及川は更にその紙袋を開けて中のハンカチを取り出した。

「はい、これ。」

力はハンカチを受け取り、ふと折りたたまれたそれの端を見て苦笑した。

「なるほどね。」

薄くなったローマ字、しかし薬丸美沙の名前が何とか読み取れる。

「あいつが貴方に名乗る訳ないのにどうして薬丸の名前が割れたのかと思ったら。」
「ふふふ、面白い子だよね、完全お馬鹿でもないのにどっか抜けてて、いやいやしてる癖に聞いたら大抵律儀に答えてくれるし。でもホントになんで逃げられちゃったかなー。」
「表裏激しいのに気づいたからじゃ。」
「ちょっとまた兄妹で同じ事言わないでっ。」

美沙にも言われたのかと力は思わずクスリと笑い及川は膨れる。

「とりあえずは、ありがとうございます。」
「どーいたしまして、じゃ美沙ちゃんによろしく。」

力が冗談ではないと言いかけたが及川は一方的で烏野の連中にもじゃあねと手を振りながら歩き出す。数歩歩いてから彼は一度振り返って言った。

「過保護なおにーちゃんだねぇ。」

余計なお世話だと力は思った。
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