第18章 【及川の突撃】
及川は更に混乱、力はちょっといい気味かもと及川の様子をしばし見物する。ここでまた面倒が起きた。
「あっ。」
成田が声を上げる。
「こらっ、田中、西谷っ。」
更に木下の制止しようとする声、気がつけば抑えられていた田中と西谷が抜け出して力のところまで飛んできた。
「ちょっとお前ら来なくていいから。」
嫌な予感しかしなかった力は言うが愛すべきアホ共は聞いておらず早速及川にまくしたてる。
「おいってめー、縁下妹に何か文句あんのかっ。」
「何でうちの妹のことでお前がいきりたってんだ、田中。」
「そうだそうだっ、美沙は親が死んでばーちゃんも死んだから力んとこに来たんだぞっ。名前変わったのは仕方ねーだろっ。」
「馬鹿っ、西谷っ、勝手に人の事情バラすなっ。」
最悪である、面倒臭いことになった。しかも更に面倒くさいことが起きた。
「な、何その波乱万丈な人生。」
及川の目から塩水が吹き出した。
「いやあの及川さん。」
「美沙ちゃんかわいそうっ、そりゃあんだけきつい態度になるよね、でも大丈夫俺はちゃんと理解して受け止めたげるからっ。」
「別に受け止めなくていいです、どうせ貴方はおちょくってるだけでしょう。」
「そんなことないって結構気に入ってるよっ。」
「それはそれでやめてください、後鼻水ふいてください。影山、ティッシュ持ってるかい。」
あまりの事態に本来事態を収拾するべき澤村が絶句している為、力はとっとと話を転がすのにかかる。