第9章 【編集依頼と報酬】
これは美沙の知らない話だが、一方で義兄と男子排球部の2年生達がこんな会話をしていた。
「で、メモ帳買わされたのか。」
成田が言った。
「ああ。」
力は頷く。
「普通ならそんくらい自分で買えっていうとこなんだろうけどお前んとこの妹の場合なぁ。」
木下が面白がってニヤニヤする。
「普段が普段だもんな。」
「だなっ、美沙の奴俺がアイス奢ってやるっつってもすぐいらないって言うんだぜ。」
「ぶはっ、想像つくわ。あれだろほれ、めっちゃ遠慮して首ブンブン振るっつー。」
「おう、それだ龍。でも代わりに飴やったら嬉しそうに食ったぞっ。」
「ちょっと待て西谷、それいつの話だ。」
木下がそこ食いつくか縁下、と冷や汗かいたような顔で呟く。
「何にせよいい妹さんだな、無理矢理踊らされて編集作業までさせられるのに税抜120円で手を打ってくれるんだから。でもさ、大丈夫なのか。」
成田が言うと力は大丈夫だよと答える。
「あいつは税込金額以上の仕事を絶対するから。」
「ったく、縁下にそこまで言わすたぁ大した妹様だぜ。」
田中がニヤリと笑った。
「おめーも感謝しろよ、義理の兄貴に言われてそこまでやってくれるとかそうそうねえかもだぜ。」
「田中に言われなくてもわかってるよ。」
力は微笑んだ。
次章に続く