第9章 【編集依頼と報酬】
「ということになってしもたよ、谷地さん。」
美沙は次の日学校で谷地にぼやいた。
「それで報酬先払いでそのメモ帳なんだね。これ可愛い。」
「ついでやったから。しかし兄さんがあない強引なキャラとは思わんかった。」
「あはは、信頼されてるんだよ。」
美沙はうーんと唸る。
「いいように使われてるだけな気も。」
「そんなことないって。」
谷地は言う。
「でも美沙さん凄いなー、自分で描いて自分で動画作って編集とかしちゃうもんね。」
「いやあれは別に人が作った道具借りまくってるしもっと凄い奴はなんぼでも。間違いなくデザインとかその辺は谷地さんの方が上やで。私は自分で適当にやってるだけやもん。」
でも、と谷地は言った。
「美沙さんはそれが好きで自分でやり方探してずっとやってるんでしょ。」
「え、あ、うん。」
「私思うんだけど」
谷地は続けた。
「それだけ夢中になれるってやっぱりすごいよ。日向達も美沙さんのお兄さんもそうだけど。」
「せやろか。でもなんでもええわ、やりたいって思たから、それだけやから。」
谷地は美沙さんらしいねと笑った。