第9章 【編集依頼と報酬】
「という訳で頼むね。どうしてほしいかの指示はあとで出すから。」
美沙は頭が混乱してきたためしばし首を傾げて考えていることを態度で示した。力は急かさずに待っている。
「次の文化祭に使うってまだ早ない。」
美沙は尋ねた。
「出来る時にやった方がいいだろ。」
美沙はそこでうーんと唸って更に考えた。既にこれ以上の抵抗は無駄だと悟った訳だが自分で描いた絵を使った描いてみた動画の人がジャンル外の自分が踊る踊ってみた動画に出演させられた上に編集までしろと言われては普段見返りを欲しがらない性格でも考える。
しばらく考え、スマホでウェブ検索などもしてから美沙は言った。
「ディスクに焼くんやんな。」
「ああ、うん。」
「ほなディスクは自前で。」
「そりゃもちろん。」
「でもさすがにそれだけやとその、えと、」
「他に何か欲しいのかい、お前にしちゃ珍しいね。」
美沙は恐る恐る希望を口にした。聞いた力はキョトンとし、目を丸くした。
「それでいいのか。」
「うん。あ、いや兄さんの懐具合による。」
「いや、別にいいけど意外だった。」
力がクスクス笑うので美沙はそんなに意外かとむくれる。
「怒るなって。」
義兄は言って義妹の頭を撫でた。